乾電池
毎日暑いです。そんな中、我が家の千代さんは、夜な夜な詩吟の稽古をしています。
千代さんは携帯用のカセットレコーダーに詩吟を録音して、稽古をしているのですが、そのレコーダーの電池が切れそうになった時のこと。
例のごとく、
「ねーちゃん、電池交換して」
と甘い声でお願いする千代さん。
いいですよ、交換くらいはいくらでも。
しかし、たまにはチャレンジしてもらおうと、このときは
「自分でやってごらん」
と突き放してみることに。
「え~」
と言いつつもやってみる千代さん。
古い電池を取り出すまでは問題ない。(当たり前)
「書いてあるとおりにプラスマイナスを合わせて新しいのを入れればいいんだよ。」
と、説明するとプラスマイナスの方向を確認。
なんだ~、1人でもできるじゃん。
と思ったのは甘かった。
「あれ!どれが古い電池か、わかんなくなっちゃった!!」
と衝撃的な一言。
なんですって?それは自分にもわからんぞ。
「どうしよ、ねーちゃん、」
と四つの乾電池を最早なんの規則性もなく握る千代さん。
(使う電池は2個)
乾電池は全て同じ絵柄。外見だけでは判断不可能。
しかもそう言っているそばから、どんどんシャッフルする千代さん。
「新しいのと古いの混ぜちゃダメだぞ~」
と晩酌でほろ酔いの父が面白半分にチャチャを入れる。
・・・わかってるから、ゲンナリしてるんです。
唯一手ががりになるのは、レコーダーの電池の表示部分。
切れ掛かった電池の場合は、この表示のライトの光が弱くなる。
しかたないので、一番ライトが弱くなる組み合わせを探すべく、電池を入れ替えるという面倒なことになった。もちろん私が。
「電池を替える時は、古いのは別にしないとダメね~」
無事に新しい電池に替えてもらい、勇んで詩吟の稽古を始める千代さん。
機械に弱いというのを隠れ蓑にして、それ以前の問題をウヤムヤにされた気がする夏の夜でした。