千代さんが走る
先月でしたか、父と自宅にいましたところ、窓の外でバタバタと走る足音が聞こえてまいりました。
なにか急を要するような足音です。
なんだなんだ、何事だ。事件か?誰が走ってるんだ?
と、父が立ち上がり、外の様子を見ましたところ、
走っていたのは千代さんでした。
「おっ母(オッカア)が走ってる」と、父。
なんであんなに走ってるんだ?
千代さんが戻ってきてから、「何事かあったのか」とたずねたところ、
「小走りすると身体にいいって言うから、洗濯物を干す時は走ってるのよ!」
と、千代さん。
新聞かなにかで、そういう記事を読んだらしく、身体のために小走りしているそうです。
「なんだ。」と拍子抜けする父とワタシ。
事件ではありませんでした。洗濯物を干しに行っていただけでした。
洗濯物を干す時に走り、夕方洗濯物を取り込む時にも走っています。
『小走り』というのがミソみたいです。
千代さんの小走り健康法はずっと続いています。
バタバタ走っています。
力強さは感じられますが、お世辞にもカッコいいとは言えない走りです。
千代さんの走りを見ると、遥か昔、地区運動会で走った千代さんの姿が思い出されます。
ワタシが小学生のころ、三人で親子リレーに参加したことがあります。
ワタシは年上ばかりのなかで走りながらも3位で千代さんにバトンを渡したのですが、千代さん、コケました。
見事に転んで最下位に転落。今でも目に浮かぶ転び方でした。
その後、父が山育ちの脅威の足で、最下位からごぼう抜きで上位まで上がりました。
そんな事もあり、我が家のなかで運動に関してドンクサイというレッテルを貼られている千代さんなのです。
その千代さんが、走っています。齢七十を超えた今、サンダル履きで小走りです。
元気で何よりですが、どうか転ばないように注意して欲しいものです。