アゲハのサナギん


 植木鉢で金柑を育てています。種なしで食べやすく甘い金柑のはずなんですが、ここ数年、美味しい実がなりません。

何故かと言えば、おそらくアゲハ蝶のせいです。

アゲハ蝶が卵を産み付け、それが育ってイモ虫になって、せっせと葉っぱを食べてしまい、金柑の生育を阻害しているのだと思っています。

アゲハ蝶の幼虫は、主に柑橘系の葉っぱを食べるそうです。

金柑の苗を買った当初、葉っぱに鳥のフンのようなものが付いて居て、よく見るとその周りの葉っぱが虫食いになっているので、もっとよく見ると、フンのようなものは動いており、うえ~虫だ~。となり、調べましたらアゲハ蝶の幼虫との事。

どうりで、やけにアゲハ蝶がヒラヒラ飛んでくると思っていました。なぜ飛んでくるのか、アゲハの目的を知るまでは、母、千代さんと、大きなアゲハ蝶を見て喜んでいました。

その後、対策として卵を産む時期には、ネットを掛けていましたが、昨年、ネットのすき間から(ネットの目は細かいのに、すき間から葉っぱを狙って産んだみたいです。あちらも必死らしいです)卵を産み付けられてしまい、幼虫は外敵からネットに守られ、葉っぱをワシャワシャ食べ放題で、ネットがパラダイスを作ってしまいました。

今年は、ネットの張り方を工夫して、何とか阻止しなけば、と、思案しながら金柑を見下ろしましたら、既にデッカイ緑色の幼虫が1頭育っているではありませんか。

え?もう?こんなに育ったの?時期が早いのでは?

少し前、真夏の暑さでしたから、アゲハも前倒しだったのでしょうか。

我が家に来るのは、ナミアゲハと呼ばれる種類で、クリーム色と黒のアゲハ蝶です。

幼虫は鳥のフン時代が1齢から4齢幼虫で、鮮やかな緑色のデカいのが終齢幼虫だそうです。

この時見つけたのは、モスラみたいな終齢幼虫です。

こんなにボディの大きいのは触れません。怖いです。虫は得意じゃありません。

もうここに置いておくしかない、今年も不味い金柑に確定だ。と、ガッカリしつつ、この幼虫には、食べ放題を提供する事にしました。

観察していましたら、金柑の葉っぱが日に日に少なくなり、在庫がかなり減ってきました。このまま、食べる葉がなくなったら、餓死してしまうのではと心配になるほど、金柑は無残な姿でした。

毎日、幼虫がいるか、確認していたのですが、ある時、金柑のどこにも姿が見えなくなりました。鳥にでも食べられたかと思いましたが、隣に置いてある、植木鉢のサカキの木に移っていました。サカキの葉っぱは食べないはずなのに、暑さでおかしくなったのか、と思いましたが、放置していました。

翌日、昨日と同じ枝に動かずにいましたが、身体を縮めるようにしていました。

また翌日、同じ位置でサナギになってました!アゲハのサナギは初めて見ました。

手前が食べられた金柑の鉢植え、その奥が、サカキの鉢植えです。

サナギも写ってます。はじめは緑色でした。



ちょっと迷惑な大飯食らいでしたが、成長すると何だか嬉しくなり、アゲハのサナギについて調べてみました。

どれくらいの期間でアゲハになるのか、調べましたら、10日から2週間くらいとの事。そして、ワタシが知らなかった衝撃的なサナギ情報も知りました。

サナギって、中で液体になってるそうです。

幼虫の身体も一部残っているそうですが、細胞を溶かして、成虫の身体が作られるそうです。完全変態ですって。この言葉も凄いインパクトです。

うわー、怖いー 気持ち悪いーと、引くワタシ。

気持ち悪いけど、なんと興味深い成長過程でしょう。アゲハ蝶が自然界で羽化する確率は1~2%や、0.6%となっていました。そんなに難しいのか、と、知ってしまうと、応援したくなります。

しかも、うちの金柑をさんざん食べられたわけですから、ここは何とかアゲハ蝶になっていただきたい。失敗されたら、食べられ損ではないですか。と、ケチな事も思いながら、観察を続けました。

粒の大きい、強い雨が降って来た時は、サナギに直撃しないように、空きのイチゴパックでひさしを作って守ってみたり、サカキに水やりする時は、サナギに水が掛からないように気を遣ってみたりしました。

気持ち悪いけど、可愛がってしまいました。

家の中からよく見える所にいるので、何かと言えば、窓越しに覗いていました。サナギになってすぐの頃は、アリさんが上を歩くとムズムズ動いていました。

「サナギん」と名前まで付けてしまいました。

羽化が近づくと、サナギの内側が透けて、翅の模様が見えるそうです。その日を心待ちに、

サナギんを観察していました。

しかし、10日経っても2週間過ぎても、サナギんは変化なしでした。

だんだん不安になります。寄生虫や病気になると死んでしまうらしいです。でも動かないので、元気か病気かわかりません。何しろ羽化率が低いので心配です。

今朝、家の中から見ても、あまり変化は見られなかったので、もうダメになってるかもしれない、と、ドンヨリしていましたが、外に出て近づいて見ましたら、サナギが空き家になってました。

中身がいません!アゲハ蝶になれたのでしょうか。

朝、早い時間に羽化する事が多いらしいです。羽化してからは、しばらく羽を乾かすらしいのですが、今朝、雨がやんでいる時間に飛び立ったのでしょうか。

出てきた後に、飛べずにダメになったら、そこらへんに落ちていると思いますが、そんな様子もありません。あんな派手な翅は目立つはずです。

サナギに裂け目があり、頭部のほうが枝から大きく離れていました。ちゃんと出て来たのでしょうか。

上手くアゲハ蝶になったという事にしよう。さよなら、サナギん。

サナギの中で透けた姿くらい見せてくれてもいいのに~、と、チョウチョの姿が見られなくて残念です。

チョウチョになって、お尻の形を確認したかったです。そこでオスかメスかわかるそうです。どうか、オスでありますように。メスだと、またこの金柑に卵を産みに帰って来てしまいます。

たくさん食べられた金柑ですが、その後、また新しい葉をたくさん出して、お花も咲かせました。こちらもかなり、しぶといです。もしかしたら、美味しい金柑になるかもしれないと、期待させてくれるたくましさです。