ケーキのクリスマス

 今年も我が家のケーキは、デカイ・手ごろ・近所の三拍子揃った不二家のケーキでした。


千代さんは、ペコちゃんのお皿欲しさに数週間前に予約していました。

「クリスマスは、これでケーキ食べようね~」

と皿を貰って喜んでいました。


そして今宵は、その皿が登場するはず。


だったのですが・・・


「ねーちゃん、ケーキのお皿どうする?」

と聞いてくる千代さん。

「あれ、ペコちゃんの使うんじゃないの?」

とワタシ。

「あれで食べたい~?」

と千代さん。


いやいや、なんでもいいんですよワタシは。あなたがその皿に執着してたんでしょ。


すると千代さん、

「お皿汚すのめんどくさくなっちゃった」


え、そういうレベルですか?じゃあ、いいですよ。何ならいっそのこと皿なしでも。

ワタシはそういうのこだわりません。

大体我が家のクリスマスは、「ケーキを食べる」だけの行事ですから。ツリーもなけりゃ、サンタも用無しです。


「じゃあ、いつものお皿でいいね!」

と千代さんが出したのは、ほぼ毎日食卓に登場する小皿。笹の模様でソースとかしょうゆとか、どっちかというとしょっぱいモノに使う和風な皿。

うちは下手すると箸でケーキを食べたりしますから、そういう皿でも文句は出ません。


そして箱を開け、ケーキをお皿にのせる千代さん。

「これ、いらないよね」

返事も待たずに千代さんが、ポイとゴミ箱に投げ捨てたのは、せめてものクリスマス気分を演出するヒイラギの葉がついた飾りのローソク。


「え。捨てちゃうの、しかもそんな秒殺な感じで・・・」

と、ワタシ。もしものときに役立つかもよ、ローソク。とゴミ箱から救出。

ケーキに無関係の父でさえ、

「きれいなのに、もったいない」

と千代さんを非難。


「いらない、いらない、そんなの」

と、非情な千代さん。

ペコちゃんの皿の時は、「見て~。かわいい~💕」とラブリー口調だったのに・・・

彼女の線引きがワタシには、わかりません。